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会議改善活動: 「よりよい会議を行うための演習」編 #kaizen

この記事は1年以上前に投稿されました。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

3万時間----。あなたが生涯で会議に費やす時間である。
(中略)
1日10時間活動できるとしても、約8年分になる。

世界で一番やさしい会議の教科書 実践編」(以降、前掲書)より。

昨年度のブログ記事では、よりよい会議を行うために前掲書から引用した「会議振り返りシート」の活用事例を紹介しました。また、よりよいリモート会議を行うために試行錯誤を続けていることも紹介しました。

今回の記事では、新年度となって新しく弊社のメンバーとなった人達に対して、

  • 会議を行う前に、事前準備をしておくことが大切
  • リモート会議を行う際は、リモートメンバーへの配慮が大切

ということを実体験として学んでもらうために実施した「よりよい会議を行うための演習」を、流れに沿って紹介したいと思います。

事前準備

この演習を行うために行った事前準備を簡単に紹介します。

  • 参加者全員をGoogleカレンダーに招待
  • 会議室の予約
  • アジェンダの作成・配布(Googleカレンダーに添付)
  • 専用Slackチャンネルの作成
  • 参加者全員がメモするためのGoogle Docsの作成

オープニング

会議のよくある問題として、

  • 話が発散してしまって会議が時間通りに終わらない
  • 会議が終わった後、これから何をすべきかはっきりと思い出せない
  • 会議に同席してはいるけど、無為に時間を過ごしている

などがあります。あるあるすぎて解決を諦めている、果てはあまりに日常に溶け込んでいて問題とも思われていない、なんてこともあるかもしれません。

さらにリモート会議でよくある問題として、

  • リモート会議システムの準備ができてない、うまく動かない
  • 多対一だと、多がオフライン側で盛り上がって、リモートの一が蚊帳の外になる
  • 話し言葉だけで完結しようとしてしまう

などがあります。

これらを解決し、

  • 時間通り(あるいは時間より早く)効率的に締まりのある会議が行えること
  • 「出て有意義な会議だった、さあ決まったことに取りかかろう」と自分を含めた参加者が思えること
  • 「平等な参加者」と思えること(「現地とリモート」のような分け方をするのではなく)

となることを目指します。

よりよい会議のための参考資料

まずはよりよい会議のための参考資料として、

  • 4つのP
  • 会議振り返りシート
  • リモート会議振り返りシート

について紹介しました。

4つのP

前掲書では会議のための「4つのP」という考え方が紹介されていました。

  • Purpose (目的やゴール)
  • People (参加者)
  • Process (進め方; 議題/アジェンダ・進め方/シナリオ・時間)
  • Property (装備; 必要なモノと情報)

事前にこれらを準備・決定してから会議を開きましょう、という指針です。

  • Purpose
    • 後述の「会議振り返りシート」でも触れられている通り、「目的とゴール」を明確に設定することが重要です。これが明確でないと、ずるずると時間を延長してしまったり、早めに議題が片付いたのに終了せずに時間一杯まで無為に過ごしてしまったりする場合があります。
  • People
    • 会議が終わって振り返ってみると実は議論に参加する必要がなかった、という人まで招集してはいけません。その人の時間を無駄にしていますし、小会議室でよかったのに大会議室を予約してしまって、本当に大人数必要な人達に迷惑がかかるかもしれません。
  • Process
    • 目的やゴール、進行タイムテーブルなどを記載したアジェンダをあらかじめ準備・配布しておきましょう。タイムテーブルがあれば進捗を把握して余裕を持った進行ができますし、盛り上がって時間をオーバーしそうな議題はスピンオフ会議を設けることにして次の議題に移るなど、進行にメリハリをつけることができます。
  • Property
    • 会議室の予約はもちろんのこと、リモート会議ならマイクやカメラのソフトウェアの設定、アジェンダの配布なども含みます。前述のチームでは会議室の予約が意外と忘れがちなので、定期であれば会議の最後に次の予約を取るなど会議のタイムテーブルに組み込みました。

会議振り返りシート

本稿でも何度も言及している、前掲書p.111に掲載の日揮株式会社 による「会議振り返りシート」です。

  • 目的とゴールは明確だったか
  • 全員が議論に参加したか
  • 決まったこと、やるべきことが確認されたか

を会議の最後に確認し、★3つ満点で採点します。

リモート会議振り返りシート

弊社では 全社リモートワークDAY をはじめとしてリモートワークを積極的に実施しています。そのためリモート会議の数も自然と多くなっています。

そのため、リモート会議用の振り返りシートを独自に作成しました。

  • スムーズにMTGを開始できましたか?
    • PC・マイク・スピーカーの準備に開幕5分以上使うとNG
  • 必要に応じてSlackやGoogle Docsを活用できましたか?
    • 音声だけで伝えようとしたり手間取ったりしたらNG
  • 全員が公平にMTGに参加できましたか?
    • 疎外感を覚える人が1人でもいたらNG

を会議の最後に確認し、★3つ満点で採点します。

演習

ここまでよりよい会議のための心構えなどを学んだ上で、これらを踏まえて実際に「会議の演習」を行いました。ただ、単純に演習をしてしまうと、少し意地悪な言い方ではありますが「お行儀のよい演習」となってしまうため、

  • 会議を行う前に、事前準備をしておくことが大切
  • リモート会議を行う際は、リモートメンバーへの配慮が大切

ということを「間違いから学ぶ」ために、いくつかの仕掛けを行いました。

事前準備の大切さ

アジェンダも何もなしにいきなり会議に呼ばれた状況のシミュレーションとして、議題を演習開始時にいきなり発表し、ファシリテーターも突然指名しました。たとえファシリテーターという立場の人がいても、事前準備がなければうまく回らない・回せないことを実体験してもらうねらいです。

また、参加メンバーの一人に「一切発言しない」ことを極秘にお願いしました。これは「会議に呼ぶ必要のない人まで呼んでしまった」ことのシミュレーションです。

リモートメンバーへの配慮の大切さ

「リモートメンバーに配慮しましょう」と言った後だとその通りに配慮されて滞りなく進行してしまうため、わざと問題になるように、参加者の何人かにそれぞれ極秘のお願いをしました。

  • 他の人の声にかぶせるように大袈裟に相槌を打つ。
  • マイクに拾われるか拾われないか微妙なヒソヒソ声で隣の人と話す。
  • リモートメンバーは「聞こえないのでもう一度言ってください」と(実際の状況はともかく)たびたびお願いする。

演習の振り返り

極秘ミッションの狙い通り結果、「事前準備のない」「リモートメンバーへの配慮が足りない」会議となりました。この演習の後、「会議振り返りシート」と「リモート会議振り返りシート」に基いて採点を行って頂きました。

なお、これらはファシリテーター個人や参加者個々人に対する点数ではないということが重要です。そもそも点数が下がる意図的な仕掛けをしていますし、会議はよい点数を取ることではなく何らかの目的を達成するためのものだからです。

会議振り返りシート

  • 目的とゴールは明確だったか (0.5点)
    • ゴールがもやっとしたまま会議がスタートしたので、議論の方向性が定まらなかった。
  • 全員が議論に参加したか (0.9点)
    • 発言していない人がいた(ミッション通り)
  • 決まったこと、やるべきことが確認されたか (0点)
    • 時間切れで確認できなかった。

合計1.4点

リモート会議振り返りシート

  • スムーズにMTGを開始できましたか? (0.8点)
    • 途中からマイクが遠くて聞こえづらいことがあった。
  • 必要に応じてSlackやGoogle Docsを活用できましたか? (1点)
    • OK
  • 全員が公平にMTGに参加できましたか? (0.1点)
    • リモート側からは、誰が参加しているのかよくわからなかった。

合計1.9点

参加者の気づき

これらの振り返りを踏まえて、参加者に自由に意見交換してもらいました。

事前準備の大切さ

  • 会議そのものの時間より、事前準備が大事。
  • 事前準備がないと、進行が大変なことが実感できた。進行が博打的になる。
  • その場対応で時間を無駄にしてしまう。
  • アジェンダがないと、どこに着地するのかわからなくなる。
  • アジェンダがないと、ファシリテーターもパニックになる。
  • タイムテーブルがないと、タイムキープができない。

リモートメンバーへの配慮の大切さ

  • 多対一のリモート会議は設備的にも難しい。
  • 一人ずつ、ゆっくりはっきり話してもらわないとリモート側は聞こえない。
  • ヒソヒソ話は意外に注意しづらい。
  • 人によっては「もう一度お願いします」と言うのは勇気がいる。

その他

  • 単にファシリテーターがいるだけではうまくいかない、参加者全員の理解が必要。
  • ファシリテーターを練習できる場があるのは大事。
  • 「ゴールをこのへんに設定しましょう」とか言っちゃいましょう。
  • 最初のゴール設定と、最後の決定事項確認は大事。
  • 議論の深掘りとタイムキープのバランスの取り方が難しい。

今後の会議をよりよくするために取ると決めたアクション

  • 事前準備を重要視。
  • 会議のゴールはアジェンダに書いておく。
  • 会議はみんなのものなので、アジェンダがないときに作成を手伝うなど協力する。
  • 準備役やファシリテーターでなくても、円滑な進行に協力する。
  • 今後ファシリテーター役になっても大丈夫なように勉強する。
  • 誰かに話しかけるときは、誰が誰に話しているかをはっきりさせる。
  • リモート参加者への気づかいを忘れない。

まとめ

少々意地悪な仕掛けで多少無理矢理感がありましたが、

  • 会議を行う前に、事前準備をしておくことが大切
  • リモート会議を行う際は、リモートメンバーへの配慮が大切

ということを実体験として学んでもらえたと思います。

また、今後「本当」の会議でここで体験したことと同じ失敗しないように心構えとする、または失敗を恐れるあまり萎縮してしまわないように一度失敗を経験しておく、という「失敗してもいい場」を提供できたとも思います。

これらの経験を踏まえて、よりよい会議を行うための活動を引き続き行っていきたい&行っていただけることを願っています。

Author

Chef・Docker・Mirantis製品などの技術要素に加えて、会議の進め方・文章の書き方などの業務改善にも取り組んでいます。「Chef活用ガイド」共著のほか、Debian Official Developerもやっています。

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