従来の開発フローに潜むボトルネックや課題をVSM*で"見える化"して対処。リードタイムを劇的に改善し、現場で真に活用されるシステムを実現。

本田技研工業株式会社

1948年の創業以来、二輪、四輪、ライフクリエーションなど、人々の生活を支え、また喜びを創出する各種製品の提供を通じて、常に時代に先駆けた価値創造に挑戦し続ける本田技研工業株式会社(以下、本田技研)。2017年には、「すべての人に、“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」というキーワードを掲げた“2030年ビジョン”を策定し、創業100年を超えても、存在感を期待され続ける企業であるために、次代に向けた新たなチャレンジを開始した。 同社の四輪事業本部に属する生産製造企画課は、担当業務の一環として、製造現場を支援し、その生産性向上に寄与する各種アプリケーションシステムを提供しているが、以前は、現場へのシステム提供までの時間やその利用価値といった面で課題を抱えていた。この状況を打破するため、同部門では、クリエーションラインの支援の下、DevOps Success Supportを導入し、システム開発工程に関する“見える化”を行い、改善施策を推進することで、大きな成果をあげた。

お客様情報

DevOps Success Support

本田技研工業株式会社

■ 企業概要

二輪・四輪・ライフクリエーションの主要事業に加え、航空機・航空機エンジン、モータースポーツ、ロジスティクス、環境・安全・社会活動などを通じて、「移動の進化」と「暮らしの価値創造」をリード。グローバルで3,200万人のお客様に製品を提供している。

■ 本社所在地:

〒107-8556

東京都港区南青山2-1-1

■ 創業:

1948年(昭和23年)9月

■ 資本金:

860億円

■ 従業員数:

連結 219,722人

単独 22,675人

■ 関連企業数:

連結子会社 364社

持分法適用会社 71社

※2019年3月31日現在

取材当時の情報です

※本事例取材はリモートインタビューの形で実施 *VSM(Value Stream Mapping)

導入ハイライト
  • 部門間の連携強化で現場の声を捉え“真に活用される”システムを実現
  • VSMにより既存のシステム開発におけるボトルネック等を“見える化”
  • 改善施策によりシステム開発におけるリードタイムを70%短縮

1948年の創業以来、二輪、四輪、ライフクリエーションなど、人々の生活を支え、また喜びを創出する各種製品の提供を通じて、常に時代に先駆けた価値創造に挑戦し続ける本田技研工業株式会社(以下、本田技研)。2017年には、「すべての人に、“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」というキーワードを掲げた“2030年ビジョン”を策定し、創業100年を超えても、存在感を期待され続ける企業であるために、次代に向けた新たなチャレンジを開始した。
同社の四輪事業本部に属する生産製造企画課は、担当業務の一環として、製造現場を支援し、その生産性向上に寄与する各種アプリケーションシステムを提供しているが、以前は、現場へのシステム提供までの時間やその利用価値といった面で課題を抱えていた。この状況を打破するため、同部門では、クリエーションラインの支援の下、DevOps Success Supportを導入し、システム開発工程に関する“見える化”を行い、改善施策を推進することで、大きな成果をあげた。

導入の背景:開発のリードタイムと提供システムの活用状況が課題に

当初、船戸氏が想定していた改善箇所はインフラまわりであり、その対処によって開発の仕組みを整えたいと考えていた。「“Kubernetes”などのキーワードでインターネット検索を行う中、これらに関する豊富な経験を持つクリエ―ションライン株式会社の存在を知りました」(船戸氏)。早速、インフラ導入に関する支援の打診を行った船戸氏だったが、意外にもクリエーションラインからの提案は、「今、実際に何が問題になっているのかを、一度可視化してみませんか?」というものだった。こうして、2019年12月、両社によるプロジェクトがその第一歩を踏み出した。

システム関係者全員でVSMを実施し真の問題を見える化

本田技研が導入を決めた、クリエーションラインの“DevOps Success Support”は、お客様と共にDevOpsの実践サイクルをスタートし、根付かせるための文化を作っていく活動を支援するサービスだ。当初実施される認識合わせのワークショップからスタートし、その後「現状把握」、「計画」、「実施」、「評価」という実践サイクルを回しながら、DevOpsの導入を進めていく。VSMは単独サービスとしても提供されているが、DevOps Success Supportの中でも、現状把握フェーズにおける重要なツールとなっている。

こうして進められた実践サイクルによって、同部門が抱えていた開発リードタイムに関わる課題や、活用されないシステムが開発される原因が次第に明らかになってきた。

「ムダ」が多い工程が明らかになりカイゼンの方向性が見えてきた

どの工程にどれだけの時間が費やされていたかという点は、企画、開発、現場の担当者全員が参加する形で進められたVSMで明らかになった。船戸氏は、「VSMを実施した時点では、当初考えていたKubernetesによる開発プロセスの改善より、前段階の企画の工程に大きな改善の余地があることが分かりました」と話す。それまで企画作業は、皆がそれぞれ1週間で資料を作り、1回約3時間の議論を行ってその結果を持ち帰り、また1週間後に更新した資料を持ち寄って議論するという対応を繰り返すことで、約3ヶ月もかかる状況となっていた。

また、活用されないシステムという点について、船戸氏は、「現場でヒアリングや調査を行った企画担当者が、例えば “この3つの情報を提供できれば現場の課題が解決する”ということで仕様書を作成します。そして、開発者には真意が十分に伝わらないまま、機能の情報が伝わります。数ヶ月後に仕様書通りのシステムを現場へ導入すると、要件は満たしているものの、現場としては、どうもしっくりこないシステムだと感じてしまい、結果として利用されないという状況が発生していたのです」と話す。

“企画段階で定義した機能が網羅されている”ということと、“実際に現場で役立つ”ということの間には大きな隔たりがある。現場でのヒアリングを基に、その後企画側だけがオフィスの中で検討して考え出した仕様は、現場でのユーザーが期待する使用感や雰囲気と大きく乖離してしまう危険性がある。「しかし今回は、開発者自身が、現場の担当者と対話をして、様々な画面を見せながら反応を確認し、本当に何が必要なのかという点を徹底的に話し合った結果、例えば『ここはグラフを使うのではなく、色を変えて表現する方が良い』といった改善点が次々に明らかになりました」(船戸氏)。

導入効果1:システム開発に関わるリードタイムを70%短縮

導入効果2:部門間の連携強化で“真に活用される”システムを実現