fbpx

Elasticsearch を使って工場のロボットデータを可視化しよう!

この記事は1年以上前に投稿されました。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

背景と概要

製造業における DX や Factory IoT の一環としてロボット・PLC のデータ利活用の需要が高まっています。そこで、クリエーションラインでは、このような課題に対するデータソリューションの構成を作成しました。今回は、ロボットの設定パラメータの変更履歴・差分を素早く確認したいという課題を仮設定しており、製造工場内等の PLC で作成されるロボットの設定ファイルのバックアップを FTP で取得し、データベースに保存・ロボットごとの設定変更履歴・差分を可視化するシステムをご紹介します。ロボットの動作設定ファイルのみを対象データとしていますが、その他、作業ログなど多岐に渡るデータの収集・分析基盤としての拡張を見込んだアーキテクチャになっています。

解決したい課題

  • ロボットの設定パラメータの変更履歴がすぐに確認できる形で管理されておらず、作業に何らかの問題が発生した場合には、関係者を集めて事情を確認にする必要があり、人手と時間を要している。
  • 設定変更前の値や差分が時系列的にわからないため、作業再開時にはパラメータ調整のための余計な作業が発生している。

ソリューション

工場内ネットワークに接続された PLC からロボットの設定ファイルを収集し、Elasticsearch で管理することで、担当者が Web ブラウザでアクセスし、ロボット一覧から設定変更履歴や差分を確認することができるシステムを構築し、課題の解決と作業の効率化を図ります。

前提環境

工場内ネットワークに接続された PLC を対象としています。PLC は、FTP クライアントとしての機能を持ち、変更されたロボットの設定ファイル(テキストデータ)が、FTP サーバーに対して随時アップロードされることを前提としてシステムを構成しています。今回ご紹介するデータ処理・可視化システムの実行環境としては、同一ネットワークに接続されている仮想マシン(Virtual Machine, VM)を想定しています。

システムコンポーネント

データフロー

今回はロボットの設定ファイルはテキストデータであることを想定しており、データベースにはテキストデータの処理に適した Elasticsearch を採用しています。Kafka Connector である FTP-Source-Connector が、常時 FTP サーバーを監視しており、新たな設定ファイルが追加されたタイミングで、Elasticsearch-Sink-Connector を経由して Elasticsearch にテキストデータとして保存されていきます。ユーザーからのリクエストに応じて、Elasticsearch のクエリを生成して、必要なデータを取得し、Web UI に返すバックエンド API を作成することで、ユーザーが設定ファイルの差分を確認できるようになっています。

Elasticsearch

本件で使用するデータベースの選択肢は複数考えられる中で、オープンソースの全文検索エンジンである Elasticsearch を採用しています。本システムにおける Elasticsearch の利点としては、全文検索によるロボット名の絞り込みが容易であることが挙げられますが、将来的には、ロボット名の検索・各設定ファイルの履歴・差分表示に収まらず、工場における大規模なデータの収集・分析に対応できることを考慮して、Elasticsearch を選択しました。例えば実際のロボットの軌跡などの数値データから、機械学習による分析を行って最適な設定を導いたり、多種多様なデータの収集と分析を行ったりすることで、製造プロセスを最適化して、製品の品質を高めることができ、リアルタイム性の高さを活かした異常検知なども含め、Elasticsearch を使用することで、幅広いユースケースに対応できると考えています。

実行例

ロボットの検索

設定ファイルの変更履歴

前回設定との差分表示

まとめ

今回は、様々な工場内で作動する PLC からロボットの設定ファイルを取得し、その差分を可視化することで、作業の効率化を図ることを想定したシステムをご紹介しました。データの活用や、システムのスケールに柔軟に対応できる Elasticsearch を使用することで、データ利活用のシステムを導入するきっかけになるような構成になっているかと思います。製造業等におけるデータ利活用のソリューションを考える上でのご参考になれば幸いです。

また、クリエーションラインでは、Digital Innovation Garage と銘打ち、イノベーションを生み出す開発チームをつくり
、企業の文化をリノベーションするための支援を行っております。課題をお持ちの方は、是非一度ご連絡下さい!

https://www.creationline.com/digital-innovation-garage

新規CTA