【事例】超老舗企業のメットライフ社が Dockerでモダナイズ
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本稿は2020年1月に公開されたMirantisブログ「Docker Enterprise Lights a New Spark of Innovation within MetLife」と、Mirantisケーススタディ「MetLife Transforms Customer Experience with Application Modernization」を翻訳・編集したものです。
グローバルな事業展開をしているメットライフ社は保険・年金・福利厚生商品などを提供する保険業界の老舗企業で、2023年には創業155周年を迎えます。保険業界で生き残り成功するためには、変化する市場のニーズにすばやく対応しなければなりません。2017年の DockerCon での一般セッションで同社は、Docker Enterprise でアプリケーションをモダナイズし、組織のイノベーションを劇的に加速させた経緯について共有しました。
事例データ
企業名:メットライフ
業種:保険、金融
創業:1868年
ビジネス規模:世界50か国に1億人以上の顧客
レガシーな記録システムの数:400
新規および既存のアプリケーション数:6,000
新サービスの市場投入までの期間短縮:3分の1に
情報管理はメットライフの中核
MetLife 社は、自動車保険・住宅保険・歯科保険・生命保険・障害保険・視力保険・健康保険などの各種保険サービスを世界50か国で、1億人以上の顧客に提供しています。その事業は、保険契約者データ・リスク評価データ・金融市場データなどの情報に依拠しています。 MetLife社のソリューションエンジニアリングの部長補佐であるAaron Ades氏はこう述べます。「わが社が情報管理に携わってきた歴史は150年もあります。その間に400以上もの記録システムが構築されました。中には30年以上も前のアプリケーションもあります。」
同社の課題は、多くのレガシーな技術を抱えていることでした。なかには1982年に書かれたコードまで現役で稼働していたのです。このようなレガシーなシステムの上で、顧客にはモダンなユーザ体験を提供する必要がありました。
レガシーなアプリケーションをDocker Enterpriseでラッピング
MetLife社は、レガシーなアプリケーションを、コンテナ化されたマイクロサービスでラッピングすることで、システムの適合と改善がより簡単になるという重要な点に気づきました。ラッピングにより俊敏性が高まり、記録システムをより簡単に扱えるようになります。つまりアプリケーションの可搬性を高められるのです。一度コンテナ化したサービスは、自社のデータセンタでもクラウドでも、どちらでもホストできるようになります。
Docker Enterprise(現在のMirantis Kubernetes Engine)の導入により、MetLife社は、ハイブリッドクラウド上でのコンテナ化と管理の両方を、安全に行えるコンテナプラットフォームを手に入れました。Docker Enterpriseは、エンタープライズ向けエンドツーエンドのコンテナ管理ソリューションです。開発チームにとっても運用チームにとっても、インストールや管理が容易だったこともあり、立案から本番稼働までかかった期間はわずか5ヶ月間でした。
成果
MetLife社はDocker Enterpriseを適切に活用し、顧客や代理店がMetLife社との関係を総合的に把握できるモダンなUIを新たにリリースできました。携帯電話・ノートパソコン・その他のモバイル端末から閲覧できます。またこのUIからは、様々なシステムで実行されている様々な年代に書かれた異なる言語のデータに入れます。このように同社はレガシーなシステムとモダンなシステムの統合に成功しました。
また、Ades氏と彼のチームは、次の点でシステム運用を大幅に改善しました。
- Microsoft Azureを活用することで、毎年のOpen Enrollment Period(※訳注:米国で年度ごとに定められた保険の加入登録期間で数か月間に登録が集中する)に25倍にも膨れ上がるトラフィックに対応し、迅速なスケールアップが可能に。
- 仮想マシン(VM)の統合率を70%まで引き上げることで、リソースの利用率が向上。
- オーケストレーションによる自動化を推進することで、サービスのスケールアップやVM/ハードウェアの障害に容易に対応可能に。
さらに重要なことに、Docker Enterpriseの導入はMetLife社にイノベーションの波をもたらしました。プレゼンテーションの最後にAdes氏は、Docker Enterprise導入プロジェクトを主導し、「MetLife社の企業文化を変革した」と高い評価を受けたチーム「Mod Squad」は「現状維持に対する抗体」であると称しました。同氏はDocker EnterpriseがMetLife社に変革をもたらし、同社の複数のビジネスに火をつけたと考えています。このことでMetLife社のアジャイルが加速し、より敏速な動きができるようになり、同社の優位な競争力の中核となるだろうと考えています。
メットライフ社がモダナイゼーションにDocker Enterpriseを選択
課題
MetLife社の顧客や代理店は、同社が提供するすべてのサービスにおいて、より良いユーザ体験を求めていました。しかし、400以上の記録システムと6,000以上のアプリケーションのメンテナンスには膨大な費用がかかり、それらの統合が課題でした。また新たなツールの導入は、すでに拡張されているITポートフォリオに、さらなるコストとオーバーヘッドがかかることを意味していました。
ソリューション
メットライフ生命はDocker Enterpriseを導入し、2段階に分けてこの問題を解決しました。まず、新しいマイクロサービスアプリケーションにより、バックエンドの異なる記録管理システムにアクセス可能とすることで、顧客と代理店に統一的なユーザ体験を提供しました。次に、600近い既存のLinuxアプリケーションを対象に、コンテナによるモダナイズを図りました。
結果
MetLife社は、新しいサービスの市場投入までの期間を18か月から5か月に短縮できました。またDocker Enterpriseという単一の技術を利用することでTCO(総保有コスト)の削減に成功しました。顧客と従業員両者のユーザ体験が向上しました。
Docker Enterprise(現在のMirantis製品)に関するお問い合わせはこちら。
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※Docker Enterprise事業は2019年11月14日にMirantis社によって買収されました。
当時のDocker Enterprise製品は、現在は下記のように名称変更されています。- 「Docker Engine」→「Mirantis Container Runtime (MCR)」
- 「エンタープライズ版Docker」→「Mirantis Kubernetes Engine (MKE)」
- 「Docker Trusted Registry」→「Mirantis Secure Registry (MSR)」