【Google Cloud Next 2025】A2A、Firebase StudioなどDay1発表内容をわかりやすく解説

始めに

AI &Data Engineering Teamの大石です。2025年4月に開催された Google Cloud Next 2025
初日の基調講演(Day 1)では、AIやアプリ開発の現場に影響を与える重要な発表がいくつも行われました。

本記事ではその中から、特に注目度の高い以下の3つのトピックについて、ポイントを絞ってわかりやすくご紹介します。

  • Agent2Agent(A2A):AIエージェント同士の連携を実現する新プロトコル
  • Firebase Studio:生成AI「Gemini」と連携したノーコード・ローコード対応のクラウドIDE
  • Agent Development Kit(ADK):マルチエージェントアプリ開発のための新フレームワーク

業務自動化やアプリ開発の現場にどのようなインパクトがあるのか。各発表の概要とポイントを順に見ていきます。


1. Agent2Agent(A2A):エージェント間連携の新たな枠組み

Googleが発表した Agent2Agent(A2A) は、異なるAIエージェント間の相互運用性を実現するための オープンプロトコル です。

AIを業務プロセスに組み込む動きが加速する中で、複数のAIが連携してタスクを分担・協調する仕組みは、今後ますます重要になってきます。A2Aはそのための共通基盤として設計されており、多くのパートナー企業と共に推進されています。

特徴

  • 複数のベンダーやフレームワーク間でエージェントの協調を実現
  • HTTPやJSON-RPCといった標準技術を採用
  • セキュリティ対応(認証・認可)やマルチモダリティにも対応
  • Salesforce、SAP、Atlassianなど50社以上が参画

活用例として、採用業務におけるエージェント同士の分業(候補者探索、面接調整、確認作業など)が紹介されており、業務効率の向上が期待されます。

🔗 公式ブログを見る

MCP(Model Context Protocol)との位置づけの違い

特性A2AMCP
目的エージェント同士の連携共通プロトコルでエージェントとツールやAPIの接続を実現する
通信形式自然対話・非構造化構造化データ・関数呼び出し
活用範囲マルチエージェント間の協調作業外部リソースとの連携

両者は補完関係にあり、組み合わせることで高度なAI連携が可能になります。


2. Firebase Studio:AI支援による新しいアプリ開発体験

Firebase Studio は、Googleの生成AI「Gemini」と連携しながら、アプリケーションの設計からデプロイまでを支援する クラウドベースの開発環境(IDE)です。

ノーコード/ローコードによる開発支援から、テストやドキュメント作成まで幅広くカバーしており、開発者だけでなくビジネスサイドの関係者にも扱いやすい構成となっています。

主な特徴

  • 60以上のテンプレートプロトタイピングエージェントを活用したUI設計
  • 自然言語、画像、手書き図による仕様入力に対応
  • Geminiによるコード生成、テスト、デバッグ、ドキュメント作成支援
  • GitHub等から既存コードのインポートが可能
  • Firebase App Hostingとの連携によるワンクリックデプロイ

🔗 Firebase Studio公式ブログ

現在は Preview版として、3つまでのワークスペースを無料提供中です。


3. Agent Development Kit(ADK):マルチエージェント開発のための開発キット

Agent Development Kit(ADK) は、複数のAIエージェントを組み合わせたアプリケーション開発を支援する 開発フレームワーク です。

OpenAIのAgents SDKと思想的に似た部分がありますが、Google独自のアーキテクチャやツール連携の柔軟性が特徴です。

共通点(OpenAI Agents SDKとの)

項目内容
目的複数エージェントの連携によるタスク実行
開発構成エージェント・ツール・ワークフローのモジュール設計
開発体験ローカル実行、CLIツール、テスト支援などあり

主な違い

項目Google ADKOpenAI Agents SDK
フロー制御並列・ループ・動的ルーティングに対応関数呼び出しが中心
モデル連携Gemini+Vertex AI経由で多様なモデルに対応GPTシリーズ中心
開発UIWebベースの設計・デバッグ画面を提供CLI・コードベース中心
ストリーミング対応テキスト・音声・映像主にテキスト

🔗 ADK公式ブログ

より高度な業務処理や意思決定を支援する、マルチエージェントアプリケーション開発に適した構成です。


まとめ:AI・開発基盤の今とこれから

Google Cloud Next 2025のDay 1基調講演では、AIを活用したアプリ開発や業務効率化の支援基盤が数多く発表されました。

今回ご紹介した、

  • Agent2Agent(A2A)
  • Firebase Studio
  • Agent Development Kit(ADK)

はいずれも、開発者や業務担当者がAIをより柔軟かつ実践的に活用するための鍵となるものです。

今後、実ユースケースでの展開や活用事例が登場することで、これらの取り組みの価値がさらに明確になっていくでしょう。
引き続き注目していきたい分野です。

Author

クリエーションライン株式会社
AI & Data Engineering Team Leader
AIやデータエンジニアリング

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