JSTQB Foundation Levelを受験してきたので勉強法や感想を共有します
みなさんこんにちは、Agile CoEチームに所属している伊藤いづみ(いづいづ)です。こちらはクリエーションラインアドベントカレンダー、18日目の記事です。
先日JSTQB Foundation Level(JSTQB FL)というソフトウェアテスト技術者試験を受験し合格しました。この記事では私の勉強方法や受験してみて良かったことを書きたいと思います。合格率や合格ライン、費用などについては詳しく記載されたサイトがすでにありますのでこの記事では割愛します。
JSTQBとは
JSTQBはJapan Software Testing Qualifications Boardの略称で、日本におけるソフトウェアテスト技術者資格の運営組織のことです。各国のテスト技術者認定組織が参加しているISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織として2005年4月に認定されています。
JSTQB 認定テスト技術者資格とは
JSTQB 認定テスト技術者資格にはJSTQB FL と JSTQB AL(Advanced Level)があります。今回私が受験してきたJSTQB FLはソフトウェアテスト技術者の入門的な立ち位置の資格試験であり、ソフトウェアテスト全般に対する知識が求められる内容となっています。
JSTQB 認定テスト技術者資格はISTQBと相互認証を行っていることから、日本だけでなく海外でも有効な資格となっています。
なぜ取得しようと思ったか
取得のきっかけは「体系立てて理解することで、もっと自信をもってソフトウェアテストについて人に説明できるようになりたい」と思ったからで、そのためには資格取得を目的として勉強をすることが一番良いと考えました。
ここについてもう少し背景を説明させていただきます。
先日アドベントカレンダー2日目の記事で代表の安田さんが「CL指名型開発」というクリエーションラインの事業の核となる取り組みについて書いているのですが、これを成功させるには顧客価値を共に実現するためのアクションと、それが本当に実現できているのか確かめるスキルの両方を備える必要があると思っています。さらに後者に関してはソフトウェアテストのスキルが役立つと考えています。
これまでクリエーションラインでは社内の開発チームのテストスキルを向上させるべく、いろんな取り組みを行ってきました。以下に社外カンファレンスで発表した取り組みをいくつか紹介します。
これらに加え、今年の4月にはテストや品質を学ぶ「ソフトウェアテストわいわい会」という社内コミュニティも発足しました。このソフトウェアテストわいわい会で今後の活動について話し合った結果、これまでの取り組みに加えてさらに開発チームのテストスキルの底上げを推進していこうということになりました。
そのためには、まず自分自身がチームに根拠をもってテストの必要性を語れるようになる必要があると思い、まずは自分が「なんとなく」ではなく体系的に理解するためにJSTQB FLの受験を決めました。
受験前の私のレベル
- テストピラミッドやアジャイルテストの4象限などのよく聞く概念は理解しているつもりだが、一歩深い話になるとモゴモゴしてしまう
- テスターやQAの経験はなく、ソフトウェアテストの分野が得意なわけではない
- Janet Gregoryさんの認定研修 Agile Testing for the Whole Teamを受講した
- ソフトウェアテスト技法練習帳は全部解いた
勉強方法
- GTMさんのJSTQBの解説動画を見てシラバスの全体像を把握。全部見ても1時間半くらい
- テス友、無料de試験:JSTQBテスト技術認定模擬試験を解く
- 間違った問題について該当箇所をシラバスを中心に復習する。暗記するのではなくなぜそれが正解なのかを理解する
- 2と3をひたすら繰り返す
いきなり模擬試験を解き始めるスタイルなので最初はけっこう間違いが多いです。そのため必然的にシラバスを読む時間が多くなりますが、シラバスを使って理解することで正答率が高くなり、理解できている実感が徐々に湧いてきます。
勉強期間
およそ20時間くらいです。
- 2ヶ月前 : 2と3をひたすら繰り返す。勉強時間は30分〜1時間/日で平日のみで、無料de試験の合格率は50%くらい
- 1ヶ月前 : 変な余裕が出てきて土日しか勉強しなくなる。勉強時間は1日15〜30分とまさに中だるみ。それでも無料de試験の合格率は70%くらい
- 2週間前 : まさかの何も勉強しない空白の1週間、中だるみまくりまくり
- 1週間前 : 2と3をひたすら繰り返す。さすがに1週間前ということで毎日勉強し、この頃には無料de試験やテス友の合格率は80〜90%
やらなかったこと
やらなかったのは、シラバスを最初から最後までキッチリ読み理解することです。
理由は読みにくくて頭に入りにくい章やわかりにくい文章もあるので、全部理解しようとすると勉強するのがイヤになりそうだと思ったからです。
その代わり問題を解いて間違ったところだけはシラバスを開いて「なぜ間違っていたか」「何が正解か」を理解しました。なので結局のところシラバスの8割くらいは読みこんでいたような気がします。JSTQB Foundationの教科書 はもっていましたが結局ほとんど使わず、シラバスで理解できない時はYoutubeやブログ記事などを参考にしました。
当日の様子
CBT(コンピュータ・ベースト・テスティング)で受験しました。当日の所感をいくつか書きたいと思います。
- テスト技法を実際に使って解く問題は確か5/40問くらいあったと思うので、ソフトウェアテスト技法練習帳をやっておくと技法はかなり自信をもって回答できる
- テス友、無料de試験と似ている問題が多く出たので、これらを利用する勉強法は良かった。ただし本番のほうが迷わせるような選択肢や言い回しが若干多いように感じた
- 初見の問題もあるが、シラバスの内容を思い出しながら消去法で考えれば大抵正解を導き出せる
- 自信のない回答にはフラグを立てることができるので、後で見直すためにうまく利用する
試験中のメモ用にラミネートされたボードとペンを渡されるのですが、このボードとペンの相性が悪くメモしたい時にスムーズにペンが出ないのが超絶ストレスでした。また一旦書くと消せないためメモスペースがどんどん煩雑になっていくのもストレスでした。
感想
受験して一番よかったことは、これまでなんとなく理解していたことについて、今回体系立てて理解したことで、以前よりも自信をもって理由や根拠を話せるようになったことです。
またテストの基本的知識をつけるという意味でもJSTQB FLは最適だと感じました。私は「3章 静的テスト」「5章 テストマネジメント」「6章 テスト支援ツール」あたりはほとんど知らなかったのですが、今回の受験をきっかけに新たに学ぶことができました。
JSTQB FLの合格率は70%近いので特に難しい試験というわけでもないと思います。基本を網羅的に理解できる内容になっていますし、合格することで自分が一定レベルの知識をもっている自信がつきますので、テストのことを知らない人ほどぜひチャレンジしてみると良いと思います!