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JSTQB Foundation Level取得後の取り組み

こんにちは、AgileCoEのいづいづこと伊藤いづみです。

こちらは、クリエーションラインアドベントカレンダー2024 17日目の記事です。

そして写真は最近バケーションで行ってきた田代島で最初に出会ったネコさんです。

今年のアドベントカレンダーは全然違うネタを書きかけていたのですが、昨年書いた記事「JSTQB Foundation Levelを受験してきたので勉強法や感想を共有します」がいまだに多くの方に読まれていること、今年の4日目の記事でやっとむ さんが私も参加している「社内勉強会「ソフトウェアテストわいわい会」について書いてくれたことを受けて、私もテストネタに変更したくなりました。なので今日はJSTQB Foundation Level を取得してからやってきたことについて書こうと思います。

やったこと① : 全社朝会でテストについての啓蒙を行った

前回のアドベントカレンダーでも書いた通り2023年11月にJSTQB Foundation Level を取得しました。無事合格してちょっとだけテストに詳しくなった気になった私は、全社朝会で絶対押さえてほしいテストがうまくなるための5トピックという発表をしました(10分くらいの内容です)。

内容を1行で話すと「クリエーションライン全体で、顧客価値を出せているかどうかをテストできるようになっていきたいです。そのために小さな5つのトピックから始めましょう」という話です。

この発表の中で最初に読むと良い書籍を5つ紹介し1、その1つにJSTQBのシラバスをあげました。私は自分がJSTQBを受験(するために勉強)した経験から、ソフトウェアテストを全然知らない人こそシラバスで体系的に理解するのはとても良いと思っています。ただ、シラバスには図もなく用語の補足も少ないので、初学者には理解しにくくてハードルが高いのではとも感じています。ここについては次に続きます。

やったこと② : JSTQB勉強会を行った

一方その頃、社内ではCL-DOJO2という社内エンジニアに向けたトレーニングコンテンツを充実させる取り組みがスタートしていました。この取り組みの1つとして社内のソフトウェアテストスキルをあげていくためのコンテンツの提供を一緒にやりましょうとオファーをもらいJST QB勉強会をスタートさせました。JST QBの章立てに合わせて全5〜6回くらいのシリーズものになる予定で、現在は第3回に向けて準備をしています。

よかったところ 1:社内のテスト理解度があがっている

社内では個人やチームの成長を可視化する取り組みも行っていて、現在のスキルレベルを5段階でプロットしています。社内ではこれを「現在地確認」と呼んでいます。テストスキルの現在地確認項目は3つあり、その1つに「JST QB FLレベルと同等の知識を有しているか」というのがあります。

まだJSTQB勉強会が始まっていない3月では1( = JSTQBの基本原則やテスト技術についての知識がない)につけた人が7割弱いましたが、勉強会2回開催後の9月では1をつけた人が減少し、2(=原則を理解できている)や3(=プロジェクトで実践できている)の割合が増えていました。

知識があれば即現場で実践できるかというとそこはまた違う話しだとは思いますが、最初に知識をつけておくことは現場で実践できるようになるプロセスの一歩目になると思います。

またテストの改善についてとりあげるチームが出てきたり、テストわいわい会への参加者も増えたりと、テストに興味を持ってくれている人が増えたように感じています。

JSTQBの現在地認識グラフではレベル1が減り2が増えている

よかったところ 2:自分の勉強になっている

勉強会を開催するにあたり、受験時はひとまず丸暗記でよかったところも受講者に説明できるように理解しなおしたり、難しい用語やイメージしにくいところはどうやったらわかってもらえるか工夫しながら勉強会を進めました。これは私にとってとてもいい勉強になり一層理解が深まったと思います。ただ資料作成は毎回かなり苦労しています。

また、自分が受験した時のシラバスはVersion 2018V3.1 でしたが、勉強会では2024年11月以降の受験に合わせて最新版2023V4.0を使っています。2つのバージョン間では取り上げている内容が変わっていたり、同じ内容を取り上げていても説明が違っていたりするため、そういったところの意図を理解しながら説明するようにしました。最新のシラバスではTDDやDevOpsについても記載されており、よりアジャイル開発に主軸をおいていますので、今の開発スタイルにテストの観点を取り入れやすい内容に変わったと思います。

もう一歩なところ 1:難しさを拭いきれない

シラバスに出てくる用語に対し図や補足を加えて理解しやすいように工夫はしているもののやはり難しいとの声が多いのが現状です。知らない用語が次々に出てくるので理解が追いつかないようです。

図や補足を多くすると説明が長くなり時間が足りなくなってしまうジレンマもあり、ここは自分でもうまくできていないなと思います。

図や補足説明を加えて理解しやすくなるよう工夫

もう一歩なところ 2:説明ばっかりになってしまう

前述した課題と関連しますが内容の都合上どうしても説明する人 / 聞く人 という構図になってしまいます。これも参加者の理解を妨げている一因のように感じます。業務の都合もあり1日の終盤に受講してくれる方が多いのですが、疲れた状態で1時間以上も話を聞いているだけなのは我ながらあまりいい勉強会の形ではないと感じています。テスト技法のところはワーク形式にするなどの工夫を取り入れていこうと思います。せっかくなので楽しく体験しながら学んでいきたいところです。

まとめ

このような取り組みを行った結果、COL DOJOを受けた人の10%〜20%の人がテストに関心を持ってくれるようになり、テストわいわい会でTDDの実践的な練習を始めるなど、少しずつですが変化が起き始めていて嬉しく感じています。

私は数年前までエンジニアでしたが、当時は、携わっていたシステムは不具合が起きたときの社会的インパクトが少ないと勝手に思っていたり、また上手なテストのやり方も知らなかったのもあって「テストなんてしなくてもなんとかなるやろ」と思っていました。ただアジャイル開発が主流になってきた昨今では、過去に作ったものを壊さずに小さく素早くリリースを繰り返す、そしてこれをうまくやることがチームに求められており、開発とテストは切り離して考えることができなくなってきています。

決してテスト意識高い系ではなかった私ですが、よい仲間に囲まれて少しずつテストの領域にチャレンジするようになってからクリエーションラインにもテストに関する変化が起きているように感じますし、その領域に貢献できていると感じます。来年は小さくてもよいので開発現場に変化を起こせるといいなぁと思っています。

  1. 参考 : テストを学びたい開発者のためのソフトウェアテスト読書マップ ↩︎
  2. CL DOJOについてはクリエーションラインに転職して4年が経ったので良いところといまひとつなところを書いていくでも紹介されています ↩︎

Author

AgileCoEチームでスクラムマスターとかアジャイルコーチをやってます。好きな言葉はオシム監督の「水を運ぶ人」ですがサッカーはよくわかりません。好きな草はパクチーです。

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