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アジャイル開発支援、開発現場から始めるか?推進チームから始めるか?

この記事は1年以上前に投稿されました。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

「いらっしゃいませ…あれ?半ズボンじゃないから分かりませんでしたよ〜」と近所のセブンイレブンで言われる季節がやってきました。どうもAgile CoEの笹です。

こちらはクリエーションライン Advent Calendar 2023の20日目の投稿になります。そしてなんと今日は私の40回目の誕生日でもあります!ぱちぱちぱちぱち…

ということで、本題に入ろうと思います。今回の話題はタイトルの通り「アジャイル開発支援、開発現場から始めるか?推進チームから始めるか?」です。なんでこの記事を書きたいと思ったのかも含め、私が考えていることを書いていこうと思います。
※あくまでも笹の個人的な意見です

最初に言いたいことを…

開発現場も推進チームも経営メンバーも、支援できるところは全部やる!
最初は開発現場に比重を置きつつ推進チームと繋げていこう!
イメージは富士山だ!

そもそもこの記事を書こうと思った背景

私はアジャイルコーチという役割で顧客のソフトウェア開発を行うチームの支援を行っています。クリエーションラインに入ってから5年以上が経ちましたが、入社当初から今まで続けています。この5年という期間で顧客からの要求が変化してきているのを感じています。

顧客の要求の変化

2018年:私のチームでアジャイル開発を実践したい。周りに有識者がいないので手伝ってほしい。
2023年:全社的にアジャイル開発を浸透させたい。推進チームを作ったので手伝ってほしい。

このような顧客の要求の変化がある中で、私としても支援について考えていることが変わってきています。自分の中の変化をまとめて考えの整理をするついでに、読んでくれた人にも何か影響があると良いなぁと思い、記事を書くことにしました。ということなので、「私はこう思ったよ!」などの意見をSNSなどで意見をくれると嬉しいでーす!

2018年の時の支援

顧客の要求と状態

2018年の顧客の要求で多かったのは「私のチームでアジャイル開発を実践したい」でした。社内で初めてチャレンジしようとしている所が多かったように思います。チームによっては「私たちが結果を残してアジャイル開発を広めていきたい!」という所もありました。

作戦:全体ではなく個別へのアプローチ

「まずは1チーム、アジャイル開発を実践できるようにする」という言葉を胸に活動していたので、アプローチとしても1チームに集中して支援しました。このアプローチは顧客の要求とも合致していたと思います。全体へのアプローチではなく個別へのアプローチから突破していく作戦です。
では世の中ではどうだったかというと「出島」というワードも流行っていた気がしました。アジャイル開発、DX、イノベーションはお堅い本社で実施するのが難しいので、本社と離れたところ(物理的か論理的かは置いといて)で新しいことを始めていこう、というものです。このアプローチも全体へのアプローチではなく個別へのアプローチから突破しようというものだったと思います。

具体的にやったこと

1チームに張り付いて支援をしました。各種研修、ワークショップのファシリテーター、スクラムイベントのサポート、一緒に外部登壇などなど。私が手を動かすものもあれば、顧客と一緒に活動することもあれば、顧客の活動を観察しあーだこーだ言う時もあります。
このチームに照準をずっと合わせ続け、この1チームのみを狙い続けているようなイメージです。

結果

幸いにも私が関わった多くのチームは半年程度でいい感じのチームになっていきました。うまくいったことを社内でも社外でも発表していくと、社内におけるチームに対する評価も上がり、チームメンバーが増え、2チームに分裂させる、という流れになることが多かったです。そうやって少しずつ増えて大規模スクラムの考え方を部分的に適用する所もありました。こういった経験もあり、私の中でも「やっぱりまずは1チームから始め、うまくいったら広げていくのが良い」という感触を強めていきました。
が、その先は止まってしまいます。特定の部署内で複数チームまでスケールしていっても、さらに他の部署まで発展することはありませんでした。周りの部署との壁が高くなり、拒否されてしまうパターンです。私の力不足もあっての結果だと思いますが、こういった結果に終わることが多かったなぁと思います。
出島の話も、出島では上手くいったという事例はよく聞いた気がしますが本土まで影響が出たと言う話はあまり聞かなかったかなと思います。

支援結果のイメージ

2023年の支援

顧客の要求と状況

2023年になると顧客のニーズは「全社的にアジャイル開発を浸透させたい」が多くなってきました。実際、顧客の経営層がアジャイル開発を実践していく方針を出していることもあり、推進していくための部署が作られていることも多いです。そしてこの推進チームから支援の依頼を受けることが増えてきました。推進チームは自分たちがアジャイル開発を実践できるようになるのではなく、実践するチームを増やすことがミッションです。よって、ミッションをクリアするために、下記の行動をとりたくなります。

  • アジャイル開発を横展開していくためのガイドブック作成
  • 全メンバーが使うクラウドサービス、CI/CD、認証認可などの共通基盤の作成

これ自体が悪というわけではないのですが、まだ一度も上手くいったことがないモノを大量にコピペするのは一発勝負の大博打になるのでいやぁな臭いが漂います。

作戦:個別へのアプローチに重心を置きつつ推進チームと仲良くする

そこで、今とっている作戦は推進チームと仲良くしながらまずは1チーム成功事例を作る、というものです。これまで経験した「やっぱりまずは1チームから始め、うまくいったら広げていくのが良い」と「特定の部署内で複数チームまでスケールしていっても、さらに他の部署まで発展することはありませんでした」という経験を合わせたアプローチです。
そもそも推進チームも見当違いな共通基盤やガイドバックを広げたいわけではありません。ただ、推進チームも今まで上手くいったことがない、知識もあまりない状態でミッションを与えられているので、その中でベストを尽くそうとしているだけです。

具体的にやっていること

上記のような背景もあるので、このような活動をしています。

  • 何はともあれ個別アプローチで1チームがうまくいくように支援する(80%くらい)
  • 推進チームと色んな話をする(20%くらい)
    • 「開発現場ではこういう活動をしていて、こういう課題が出てきています」
    • 「推進チーム向けにアジャイルやDevOps、その周辺の技術についての基礎的な学習をしましょうか」
    • 「この組織ではこういうアプローチで推進していくのが良さそうなので、第一歩目はこれをやっていくのが良さそうですね」

超ざっくり言うと、まずは1チームで上手くように支援し、その裏で開発現場と推進チームを緩やかに繋ぎ段差を滑らかにし、1チーム目で上手くいったエッセンスを他の部署にも流れていきやすくする、的な感じです。

結果

まだ結果として発表できるほどではないですが、以前よりいい感じにスケールしていける予感はしています。途中から楽ができるようになりそうというか。
最初にチームを立ち上げるときは多少のパワーが必要になると思います。それ以降もずっと同じようなパワーで1チームずつ立ち上げ続けるよりも、自然とスケールしていけるような環境を作っていくところにパワーをかける方がお得ですよね、的な考え方です。

支援結果のイメージ

まとめ

今回の記事では、アジャイル開発の導入や実践を支援していく時のアプローチについて書きました。特に、私が5年前に考えていたことと今考えていることの変化について書いてみました。いつでも本気で取り組んでいるつもりですが、その結果壁を作ってきたのが2018年で、今は傾斜のある富士山を作って自然と流れていく環境を作っていきたいと思って活動しています。「富士山良さそうじゃん!」って思った方は一緒に富士山作ってみましょう!

最後に独り言

過去を思い返しながら記事を書いていたので勝手にふりかえりすることになりました。そこで思ったこととして「2018年当初も2023年と同じことを考えていたのでは?」ということでした。今となってはよく分からない所もありますが「経営メンバーや推進チームとか、開発チーム以外へのアプローチも必要だと思いつつ、そこは自信がないなぁ…上手くできるかなぁ…」という気持ちがあった上で「周りの人たちも ”まずは1チーム立ち上げよう” って言ってるから開発チームだけ見てればいいんだ!」という言い訳をして、自分が安心できる所で仕事をしていたのでは?
なんて思いましたが、今や知る由もないので、これからはもうちょっと自分と向き合った上で、できない所は他の方に協力をお願いするとかしてやっていきたいなぁと思いましたー

ちょっと寄り道 〜なぜ顧客の要求は変化した?〜

顧客の要求が変化してきたという話をしました。その背景にはアジャイル開発の普及がありそうだと思っています。簡単にいうと「アジャイル開発が一部の物好きがやるものではなく、当たり前にやるものになってきた」ということです。
せっかくなのでデータで比較してみたくなったので、IPAが出しているDX白書でアジャイル開発の普及率の変化を確認してみましょう!と思ったら2018年はDX白書がなく、ソフトウェア開発データ白書2018-2019というのが出ていたので、DX白書2023とデータを比較してみましょう。

2023年のアジャイル開発普及率
DX白書2023によるとアジャイル開発の普及率は「全社的に活用している」と「事業部で活用している」を合わせて22.9%とのことです。顧客はこれから推進していきたいと思っている所なので「活用を検討している」まで含めると41.5%のようです。過半数までいかないまでもかなり増えている気がします。ちなみにDX白書2021では「全社的に活用している」と「事業部で活用している」を合わせて19.3%なので2年で3.6%上昇しているのでなかなかの上昇率です。

2018-2019年のアジャイル普及率
同じドキュメントではないですがソフトウェア開発データ白書を調べてみました。同じようなグラフはないだろうと思っていましたが、グラフ自体見つかりませんでした。そもそも396ページの中に「アジャイル」というワードが1つしか見つからないレベルでした。かろうじて見つけたデータは以下です。ウォーターフォール型が97.4%ということなので、アジャイル開発の浸透はほぼないということかなと思います。
※アンケートした先がDX白書と異なると思うので素直に比較できるものではないと思います

2018年と2023年のアジャイル開発普及率について
データの比較ができないので感覚の話になってしまいますが、2018年から2023年の5年でアジャイル開発の普及は大きく進み、認知されてきたと言えそうです。というか、2018年の時点でウォーターフォール型97.4%って本当かな?肌感覚としてはもうちょっとアジャイル開発が普及していたと思いましたが…周りに多かっただけなんですかねー

Author

DevOpsチームのアジャイル好き。毎日宇都宮から通ってます。好きな言葉は「自由」!イベント主催するので参加してくださーい♩♪

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