キックオフでロケットスタート!チームを加速させるワークショップづくり #agile
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みなさんこんにちは!4月からできたてホヤホヤのAgile CoEチームに所属している伊藤いづみ(いづいづ)です。
今回「4月から新しいメンバーで新しいことに取り組んでいくチームが、自信をもってスタートを切っていくためのキックオフをやりたい!」というご依頼を受け、オンサイトキックオフで行うワークショップをAgile CoEチームがご支援させていただきました。
この記事では、キックオフワークショップをデザインするにあたりそこに私達がどのような意図を込めていたかをお話しします。
チームの姿を想像することから始める
このキックオフが終わった後にチームがどんな状態になっていれば、そのチームは明日から自信をもって進んでいけるだろうか?
私達はまず自信をもって最初の一歩を踏み出しているチームの姿を想像することから始めました。そしてワークショップ後にチームがこのような状態になっていることをイメージしました。
- 自分のチームのことをよく知っている
- 自分たちが明日から何をやっていくのかをわかっている
- 明日からやっていくぞ!という前向きな気持ちを持っている
自分のチームにはどんな人達がいて、どこを目指して、何をやっていこうとしているのかがわかっている。さらに自分たちが何から手をつけたらいいかも決まっていれば、不安がなくワクワクした気持ちをもっていいスタートダッシュが切れると考えました。そして、キックオフという限られた時間の中で集まってくれたメンバー全員がここに到達することを目指しました。
名付けて「ロケットスタートキックオフ」です!
さてさて在りたいチームのイメージが固まったところで、私達が次に考えたのは何をやったらここに最速で到達できるかという点です。ここでは出し合ったアイディアから実際にワークショップで実施した3つを紹介します。
1. チームの距離をグッと深める
キックオフミーティングを行う目的の1つは顔合わせです。仲間を知ることはチームの信頼関係を深め、そこから生まれる安心感はチームの活発で建設的な議論を促します。
私達は関係性の面でもロケットスタートを切るために、自己紹介ではなく他己紹介を行いました。他己紹介は自分以外の相手のことをチームに紹介する方法なので「相手のことを知ろう」という気持ちをもったコミュニケーションが自然に発生します。知ることに意欲的なチームはあらゆることにスピード感を持って取り組んでいくことができますから、こういった要素もキックオフに入れました。
また、他己紹介には「自分のコミュニケーションタイプ」という質問を加えました。例えば「率先して話していくタイプです」「人見知りなので話を振ってくれると話しやすいです」「話すよりも聞いている方が多いです」など、自分が心地よいと感じるコミュニケーションについていくつか挙げてもらいます。
名前や所属などの属性だけではなく、コミュニケーションタイプや呼ばれたい名前、意外な一面がわかる質問などを通じて人となりを知ることができる会話が始まれば、キックオフの最初の数分で親密度を増すことができてチームの距離がグッと深まるので、今後のディスカッションがしやすくなります。
2. チームのことを理解する
メインのワークショップは2部構成で、前半はチームのことを理解する時間にしました。
このチームは何のために何に取り組むのか。どうやって実現するのか。自分たちは何ができて何ができなさそうなのか。いつまでに何ができていたらいいのか。チームが知っておくべきことは山程ありますが、チームの立ち上げ段階ではわかることよりもわからないことのほうが圧倒的に多い状態です。さらにチームの理解度も人によってバラバラです。
そこで、これらのことをディスカッションを通じて理解を深めていく時間にしました。ここでは限られた時間内でもディスカッションをうまく進めるための工夫を2つ入れています。
ひとつはディスカッションのフレームワークを用意すること、もうひとつはディスカッションで役割を決めることです。
フレームワークは以下のような7Stepにし、これをチーム内で繰り返してもらうようにしました。今回は各チームともチームの要点をまとめたDesign Doc1があらかじめ準備されていたため、話すテーマをそこから選ぶようにしています。
また実際のディスカッションでは「説明する人」「質問する人」「ツッコミを入れる人」という3つの役割に分かれてもらい、わからないことをこの場に出す、斜に構えてイジワルな視点で見てもらうといったことが意図的に発生するようにしました。
これらはキックオフという場と時間を考慮して、チームの立ち上げ期という関係性が十分深まっていない状態でもディスカッションのリズムを素早く作り、様々な角度から意見を出してチームの視野を広げた状態を作ることを狙っています。
3. チームのことを決める
他己紹介でメンバーとの距離が縮まり、前半のワークショップでチームへの理解が深まったところで、最後はチームのことをどんどん決めていく時間です。ここではチームの行動にフォーカスしていきます。
自信をもって行動するコツは迷いを減らし意思決定を進めることです。ここで行ったことはチームのリズムと役割を決める、今日決めきれなかったことの扱いを決める、最初にやることを決めるの大きく3つで、時間内でとにかくどんどん決めていきます。
チーム開発ではミーティングの日時や参加者決めに始まり、スケジュール、プロダクトの方針に至るまでメンバー間で決めていくというアクションがたくさん発生しますが、決め方が上手なチームは意思決定を素早く行うことができます。決め方を決めておく、決まらないことの扱いを考える、高頻度で発生することは固定してそもそも決めなくていいようにする(これを”チームのリズム”と表現しています)とチームの迷いを減らせるでしょう。
さらに明日まず何から始めるかということを具体的に決めておくことで、キックオフの翌日からさっそく行動を取ることができます。
クリエーションラインらしさをひとさじ
一部の界隈では有名ですが、クリエーションラインといえば「劇団クリエーションライン」による寸劇ですね!冒頭のワークショップの説明では、この後肩の力を抜いて参加してもらえるよう、ちょっとした寸劇を交えながら進めました。
私達Agile CoEチームは単にワークショップをするのではなく一緒に過ごす時間が楽しくイキイキとした時間となることを大切にしています。どのようなご支援においてもHRT+Joy2をひとさじ加えることを決して忘れません。
なぜワークショップをゼロから作るのか
チーム間で共通認識を持って取り組むためにキックオフでよく行われる手法の1つに、インセプションデッキという有名なフレームワークがあります。
今回依頼を受けた時このインセプションを使う案も検討しましたが、最終的にはゼロからワークショップをデザインすることに決めました。
事前に行ったヒアリングからインセプションデッキについての理解度において参加者間で差があること、また要点をまとめたDesign Docがチーム毎に準備されていることから、このDesign Docをベースとして進めていくほうが参加者がやることをイメージしやすく、ディスカッションや理解が加速すると考えたからです。
またディスカッションの内容をDesign Docにアップデートする時間をワークショップ内に加えることで、明日から現場で役立つものをリアルタイムで作っていけることもメリットと考えました。
参加者の声
さて、今回ゼロからデザインしたロケットスタートキックオフですが、実施後に参加者からこのような感想をいただいています。
- こんな充実したキックオフは初めて
- 今まではもやっとしたスタートを切って途中でゴタゴタすることがあったけど今回は序盤で明確に認識合わせできてよかった
- 言葉の定義やスコープをあわせるのがこんなに大変だと思わなかった
- 本格的なキックオフのやり方を体験できた
仲を深める、知る、理解する、決めるといったプロセスをディスカッションベースで丸一日行うのはとても疲れたと思いますが、これまでに経験がないキックオフとなったようで私達の喜びもひとしおです!
おわりに
チーム開発が主流となっている今、キックオフを単なる顔合わせの場で終わらせず、関係性構築や意思決定を素早く行うためのチームの土台を作る場となるよう目的をもって実施することが大切です。
Agile CoEチームではこのようにお客様のチームの状態に合わせたキックオフをゼロからデザインすることができます。またデザインのみならず当日の進行やチーム別ファシリテーションも合わせ、全体をまるっとご支援することも可能です。
キックオフ支援について興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。
なお、ロケットスタートキックオフの資料を公開しておりますのでよければご覧ください。
- グーグルなどで取り入れられているドキュメントのスタイル。これから開発するソフトウェア設計の基本的な要点をWhat・Why・Howなどのレベルで記述し、思考の整理やチーム内の合意形成に利用する。参考 : GoogleのDesign Docsから学ぶソフトウェア設計
- クリエーションラインの企業理念。Culture of Creationline