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【Agile Kata Series】Part 1 : アジャイルのカタの概要

今回から、シリーズもののブログを連載してみようと思います。お題は「アジャイルのカタ」についてです!


アジャイルのカタとは

アジャイルのカタの公式サイトでは、以下のように説明されています。1

The Agile Kata is a universal pattern for continuous agile improvement.
(アジャイルのカタは、継続的なアジャイル改善のための普遍的なパターンです。)

Agile Kata Pro

また、同サイトには概要を表す以下のようなポスターも掲載されています。

アジャイルのカタの特徴

  • アジャイルを実践する際に普遍的に導入できる、必要最低限の軽量なプロセス
  • アジャイルが対象とする複雑な領域において、「探索-把握-対応」のステップで対処

冒頭で紹介した「普遍的なパターン」という定義の通り、アジャイルのカタはアジャイル的な進め方全般で普遍的に適用できます。制約は緩く、他のプロセスほど導入時のオーバーヘッドは多くありません。

例えば、スクラムを厳密に実践しようとした場合、「スクラムマスターは誰がやる?」「(ソフトウェア開発以外の文脈での)インクリメントはどう定義する?」など、いくつか引っかかりそうな場面が出てきます。実践経験が豊富なチームならば適切に適応しながらカスタマイズできますが、それでもカスタマイズするというオーバーヘッドは発生するでしょう。一方で、アジャイルのカタでは、必要最低限のステップのみ定義されているので、アジャイルを志向しているどのチーム・プロジェクト・組織でも適用できます。

また、必要最低限のプロセスの中でも、アジャイルが対象とする複雑な問題領域に適切に対処できるステップが組み込まれています。アジャイルのカタの構成要素である、「改善のカタ」がその中核を提供しています。

アジャイルのカタを構成する要素

トヨタのカタアジャイル
改善のカタ
コーチングのカタ
Agile Mindset : アジャイルマインドセット
Measure Value : 価値に基づく計測
Agile Coaching : アジャイルコーチング
Collaboration : コラボレーション
Agile Leadership : アジャイルリーダーシップ

上記の表が、アジャイルのカタを構成する要素です。「トヨタのカタ」に「アジャイル」の要素で拡張したものが、「アジャイルのカタ」です。

トヨタのカタ(改善のカタ・コーチングのカタ)については、こちらのスライドが参考になるでしょう。アジャイルの要素は、上述したポスターの要素に矢印と一緒に図示されていますね。構成要素の詳細に関しては、シリーズPart 2で説明しようと思います。

アジャイルのカタのユースケース

上述したように、アジャイルのカタはあらゆる場所で普遍的に利用できるパターンです。とはいえ、具体的にどこで適用しているのか?が分かると、よりイメージしやすいかと思います。以下は、ユースケースの一例です。

  • レトロスペクティブとして
  • アジャイルチームのプロセスとして(スクラムやカンバンなどの代替・補完)
  • アジャイルな組織変革を進める際のプロセスとして
  • プロダクト開発以外でも、ビジネスアジリティを追求する部門で(人事・調達・財務・法務部門など)
  • プロダクトマネジメントの場で

私が実際にカタを適用している場所は、下記の場面です。明示的にアジャイルのカタの流れを見せながら進めるときもありますし、頭の中に思い浮かべながら話を進めることもあります。

  • クライアントへの提案時に、クライアントが進みたい方向を問いかけながら明確にする場で
  • アジャイルなプロダクト開発組織を目指して、変革への取り組みを推進する場で
  • VSMワークショップ後に、改善アクションを検討・実施していく場で
  • チーム・個人の目標設定の場で

他社の事例ですが、KINTOテクノロジーズさんでは勉強会運営にアジャイルのカタを参考にしているというのもありますね。


シリーズ第一弾として、今回はアジャイルのカタの概要を紹介しました。いかがでしたでしょうか?引き続き、次回以降の記事も用意していこうと思います。概要では触れなかった詳細や、実際の事例なども少しずつ紹介していけるとよさそうですね。

また、今回の記事で興味を惹かれた方は、2024年12月に出版されたばかりの下記の本もオススメです。カタの構成要素や想定ユースケースなどが詳細に記載されているので、より深くカタを知れることでしょう。

余談:アジャイルのカタとEBMの関連

「アジャイルのカタ」シリーズは、EBMの関連・補足記事としても考えています。

  • EBMで触れているアウトカムやインパクト・重要価値領域(CV/UV/T2M/A2I)を、「価値に基づく計測」に利用できる
  • EBMのゴール設定や、ゴール達成のためのステップの流れ自体が、改善のカタを参考にしたと推測される

つまり、EBMを実践しようとしている人にとっても、有益な記事になることでしょう。EBMとの関連性の詳細は、シリーズ後半のPartで紹介していければと思います。

脚注

  1. 2024/12/28現在、公式サイト上に以前は掲載されていたバージョン2.0のドキュメントが掲載されていません。ポスターはバージョン3.0なので、ドキュメントの更新作業が行われているのかもしれません。
    2025/01/06追記:バージョン2.0ドキュメントの公式サイトでの配布を終了し、以降はサーバントワークス様のサイトで参考資料として公開されるとのことです。そちらを参照ください。 ↩︎

Author

大切にしている価値観:「現場で働くチームの役に立ちたい!」
そのために
- エンドユーザーへ価値を届けることを見据えつつ
- その価値を産み出すチームもより活き活きと動けるように
を目指しています!

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