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「Cloud Operator Days Tokyo 2023 クロージングイベント」参加レポート #cloudopsdays #CODT

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2023年9月14日に、東京お台場で開催された「Cloud Operator Days Tokyo 2023 クロージングイベント」に参加してきました。少しでもイベントの雰囲気が伝わればと思い、イベントで学んだことや感想を紹介します。

そもそもなぜ参加?

実はオンデマンド形式で配信される「Cloud Operator Days Tokyo 2023」のセッションに、筆者含め弊社メンバーも登壇しているので、その関係でイベント期間最終日にオフライン開催される「Cloud Operator Days Tokyo 2023 クロージングイベント」にも参加しました(普段はフルリモートワークで家に篭りっぱなしの筆者なので、久々に外に出てITエンジニア的活動?をしたいという思惑もあり)

ちなみに弊社メンバー(CL大関、冨山)とDENSOの吉井弘明氏が共同で発表したセッション動画はこちらのリンクからご覧いただけます。動画閲覧には事前にアカウント登録(無料)が必要です。

Cloud Operator Days 2023 クロージングイベントの概要

朝の9時半から開催されたイベントは以下のようなプログラムで進められ、主に新時代におけるクラウド運用に関連したセッションが多く開催されていました

  • フィッシュボール形式でエンジニア同士がディスカッションする40分単位のセッション「CODT Unplugged」が4セッション
  • 30分単位で発表される「Keynote」が2セッション
  • 多くの参加者が登壇したオンデマンドセッションの中で、特に優秀なセッションを表彰する「輝け!クラウドオペレーターアワード」授賞式
  • ぐるなびCTOなどの有名企業の方々がパネリストとして参加する「CODT Unplugged Panel Discussion」
  • 懇親会

場所は東京お台場で、頭上を「ゆりかもめ」が通る大きな道路を挟んで、「デックス東京ビーチ」の対面、「台場フロンティアビル」の12階でイベントが開催されました。お台場好きにはたまらない好立地、ここで働ける人が羨ましい...

イベント開催場所「台場フロンティアビル」の12階からの眺め

イベント会場にはクラウド運用でおなじみの「VMware」「CircleCI」や、AIOps運用ツールで今をときめく「New Relic」などの企業ブースもありました。

主催者による正式な発表等はありませんが、筆者の感覚として、当日は70人前後くらいの参加者が集まっていたかなと思います。参加者の中には「DMM.com」「NTT東日本」「ぐるなび」「Azure」「スクウェアエニックス」「LINE」などなど、有名企業の方々の参加も多く、セッションやディスカッションなどで様々な現場の面白い話、苦労話が聞けて、ここ最近1つの現場に長く携わっている筆者としては、とても新鮮な感覚でした。

昼からのオープニングセッションに集うイベント参加者

ちなみに地方在住の筆者、久々の東京&人の多さにアテられ、後半は疲労困憊でイベントの懇親会に出席できず... 無念...

イベントセッション感想

複数セッションを並行して開催されていた時間帯もあり、全てのセッションには参加できていないのですが、参加できたセッションの紹介と感想を少し

CODT Unplugged Session「ハイブリッドクラウド」

クラウド(パブリック/プライベート)とオンプレミスを単につなげる消極的ハイブリッドクラウド利用から、クラウド技術をオンプレミスで享受する事等を目的とした積極的ハイブリッドクラウド利用が主要となっていく現代のハイブリッドクラウド利用について、そのウマミとツラミを参加者で議論、共有するセッションとなりました。本セッションの結論としては、PoCなどの運用フェーズ初期段階でアジリティやオートスケールの面で優位性のある「パブリッククラウド」に頼りつつ、運用フェーズ後半はコスト面の優位性やエンドユーザーの要望を柔軟に反映できる「プライベートクラウド」に依存するのがベターなのでは、との基本方針が示されるも、「プライベートクラウド」に依存する際のセキュリティ面の考慮、めちゃ大変だよね、という意見がとても多かったです。真夏の暑い中スーツを着て、自社データセンターにVMware vSphereやFirewallなどなどを汗だくでラッキングしたり、LANケーブルをカチカチつないだりしてプライベートクラウドを運用していた筆者としては、「もう全部パブリッククラウドで良いのでは?」と思っていた時期もありましたが、そのような稚拙な?考えを改める良い機会となりました...

CODT Unplugged Session「カオスエンジニアリング」

開発中や本番稼働中のシステムに疑似障害を意図的に発生させ、ウィークポイントを把握して対策をとるエンジニアリング手法「カオスエンジニアリング」について、その概要や導入策について議論するセッションとなりました。セッションの参加者としてはざっと20人前後くらい居たと思いますが、実際に「カオスエンジニアリング」を現場に導入している方は半分ほど。「意図的に障害を発生させる」という点から、セッション参加者からは「カオスエンジニアリングをやるとお客さんに怒られそう」、「カオスエンジニアリングを実施したくても偉い人の説得が難しそう」など、カオスエンジニアリングの導入で少し不安に思う意見が多かったです。ただ、実際にカオスエンジニアリングを導入している参加者からは「カオスエンジニアリングは避難訓練だ」という意見もあり、前向きにカオスエンジニアリングを導入するための知恵、ノウハウが共有され、「カオスエンジニアリングを導入したいが、不安な点が多い」という方にとっても、とても有意義なセッションだったと感じます。カオスエンジニアリング初心者の筆者としても「SLO/SLI、エラーバジェットを定義して、その範囲で少しずつカオスエンジニアリングを実施する」という意見がとても参考になりました。

Keynote「Collaborating without Boundaries: How the OpenInfra Foundation is Building Software in Production on a Local, Regional, and Global Scale」

オープンソースのクラウド基盤「OpenStack」の開発などをホストしている「Open Infrastructure Foundation」による「OpenInfra」のあゆみや取り組みについて紹介するセッション。近年は規模拡大に伴い、リージョン毎に「OpenInfra Asia」や「OpenInfra Europe」などのコミュニティも設立しているとのこと。スピーカーは「OpenInfra Asia」のディレクター「Horace Li」さんによる英語でのセッションで、セッションは同時通訳されていました。北欧スウェーデンの自動車メーカー「VOLVO」の自動車ソフトウェアや、有名オンラインゲームなどに、「Open Infrastructure Foundation」で開発された様々なオープンソースプロダクトが利用されているお話や、コミュニティメンバーが設立時の150人から、現在までに世界中に110,000人にまで拡大したあゆみなど、「OpenInfra」の勢いやHorace Liさんのワクワク感が伝わるセッションでした。

Keynote「モダン開発におけるAIOpsの重要な役割: ぐるなびが目指す効率的な運用戦略」

AIOpsがモダン開発に果たす重要な役割と、ぐるなびが実践する効率的な運用戦略に焦点を当て、AIOpsが運用にどのような影響を与えるかを、ぐるなびCTOの方から具体的な事例と共に紹介いただくセッションです。ぐるなびでは「自信が開発したアプリを自己運用する」のが基本スタンスで、自己運用するにあたり、「コスト把握、キャパシティプランニング、各種試験、システム状態把握、改善、障害オンコール、ポストモーテム」などなども開発エンジニアで担当しているそうです(すごい...)。このスタンスで行くと、障害発生時のアラートも開発エンジニアに通知されるようになり、そのようなアラート運用なども効率化したいとの思いから、AIOpsが活用されるようになったそうです。クラウド運用で不足しがちな経験「状態の把握、傾向の分析、深い調査力」をAIOpsで補えるメリットもあれば、まだまだAIによる「過検出、過検知」などのデメリットが存在する一方、日々の運用改善活動を通じてAIOpsの精度を上げられる点や、AIの凄まじい進化を肌で感じていることなどから、今後ますますAIOpsの活用が重要になってくる、とのお話でした。セッションの中での「リアクションしないアラートは不要なアラート」というお言葉、筆者の心にぐさっと来ました... アラートって普段垂れ流しにしがちですからね...

授賞式「輝け!クラウドオペレーターアワード」

50前後ほどのオンデマンドセッションの中から、特に優秀なセッションを表彰する「輝け!クラウドオペレーターアワード」は、イベント後半 15:00ごろから開催されました。賞は「ヤングオペレーター賞、実行委員会特別賞、オーディエンス賞、審査員特別賞(変革編)、審査員特別賞(挑戦編)、最優秀オペレーター賞」など、複数の賞が用意されており、弊社メンバーが登壇したセッションはなんと..... 受賞ならず!(残念!)。ただ、セッションに登壇したことで自身が携わってきた案件/技術の振り返りができて、とても貴重な体験となりました(関係者の皆様、その節はご協力いただきありがとうございました!)。ちなみに、「最優秀オペレーター賞」の景品はなんと、旅行券10万円分(すごい...)。他にも景品として「スマート体重計」や「スマートマグカップ」など、ガジェット系多めでユニークな景品も多く、表彰式はとても盛り上がっていました。

CODT Unplugged Panel Discussion「AIOpsの取り組みや最新のサービス・技術情報について」

表彰式の後は、「AI技術を運用に活用して、運用を楽に、安くすることができるのか?」をテーマに、「ぐるなび」「日本マイクロソフト」「New Relic」などから、サービス・プロダクトプロバイダ、実運用者の立場で3名のパネリストが登壇され(+モデレーター1名)、AIOpsの取り組みや最新のサービス・技術情報について議論されました。Day0~2の各運用フェーズにおけるAIの活用ポイント、AIOpsのユースケース、実際にAIOpsを利用して感じている点など、普段AIOpsツールを利用していないエンジニアにとっても、とても有意義な内容でした。AIOpsの活用で若干工数が下がっている現実がある反面、AIを活用しすぎてノウハウが溜まらなくなり、品質も少しずつ下がっているのでは無いかという危機感がある、という意見も出ており、AI時代のクラウド運用者/開発エンジニアが身につけていくべきスキルはどのように変化していくのか、少し考えさせられました。生成系AIに至っては、自然言語からGoやPythonなどのコードを自動生成したり、自然言語からPromQLなどのクエリーランゲージも自動生成される現実が既にあり、今後はAIを巧みに使いこなす人材が重宝されるのでは、という意見もありました。数時間もかけていたエラーの原因調査を、AIで一瞬にして完了させてしまうような現実がもう既に存在していて、そのような現実を受け入れて、じゃあ次に自分はどうすればよいのか、自分で考えられる人が今後も生き残っていくのではないかと、筆者は漠然と思いました。

感想

久々のイベント参加でとても刺激になりました。様々な意見や考え方に触れることで、じゃあ自身の携わる現場はどうなんだと、改めて考えさせられる良い機会になりました。クロージングイベントに参加するまではあまり分からなかったのですが、AIOpsツール市場が結構盛り上がっているとのことで、何かの機会に筆者もAIOpsツールいじってみようと思いました。

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