国内インターネットのパイオニア”IIJ”がWAN システムの運用管理基盤として Neo4j を導入。安定運用、高速検索、迅速な開発、容易な運用管理など各種の導入効果を得る

株式会社インターネット イニシアティブ

お客様情報

Neo4j

株式会社インターネット イニシアティブ

■ 企業概要

1992 年、国内初の商用インターネットサービスプロバイダとして設立され、現在では、IIJグループとして約 14,000 社の法人顧客に対して、インターネット接続、クラウド、セキュリティ等の各種ネットワーク・IT サービスから、システム構築や運用管理などのシステムインテグレーションまで、総合的なネットワーク・ソリューションを提供している。

■ 本社所在地:

〒102-0071 東京都千代田区富士見2-10-2飯田橋グラン・ブルーム

■ 設立:

1992年12月3日

■ 資本金:

25,562 百万円*

■ 社員数:

4,750 名(約 7 割が技術者)**2023 年9 月30 日現在

取材当時の情報です

※写真:左から海鋒氏、綱氏、浪崎氏、蛸井氏、高橋氏

導入ハイライト
  • ネットワーク運用管理に最適なグラフDBとしてNeo4jを採用
  • 2年間障害ゼロの安定性に加え、高速検索、迅速な開発、容易な運用管理に貢献
  • クリエーションラインのサポート対応についても高く評価
国内初の本格的商用インターネット接続事業者(ISP)として 1992 年 12 月に創業以降、日本のインターネットのパイオニアとしてイニシアティブをとり続けてきた株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)。現在では、法人顧客向けインターネット接続、クラウド、セキュリティ等の各種ネットワーク・IT サービスから、システム構築や運用管理などのシステムインテグレーションに至るまで、幅広いネットワーク・ソリューションを提供している。直近の業績でも、大口サービスインテグレーション需要増勢、超大型案件の獲得、モバイル案件の増大などを背景に、売上で+5.1%、売上総利益で+10.2%の対前年同期比を実現するなど*1、良好な展開を見せている。同社のサービスシステムを支えるネットワークシステム開発 2 課では、ネットワークの運用管理を支援するグラフ DB として、クリエーションラインが提供する Neo4j を採用。安定運用に加え、高速検索、迅速な開発、さらに容易な運用管理など各種の導入効果を得た。
*1: 2024 年 3 月期上半期(1H23)連結業績説明資料による

Omnibus サービス運用のための情報管理に向けた仕組みを模索

Omnibus では、IIJ が独自開発した NPS(Network Processing System)をゲートウェイとして、インターネット、セキュリティ、WAN など、ネットワーク構成に必要な機能をサービスモジュールとして提供。お客様側は、専用のネットワーク機器を自社で所有することなく、必要なときに必要な機能をアセットレスで利用でき、複雑化するセキュリティ対策やネットワーク運用の負荷とコストを大幅に削減することが可能となる。 一方、Omnibus を含む各種ネットワークのサービスの運用管理については、ネットワークシステム開発課とは別にネットワーク運用を専門とする課が存在する。こちらの課のミッションは、円滑かつ効率的なネットワークサービスの運用管理だが、2020 年には、膨大な量におよぶネットワーク情報の管理を支援するためのデータベースについて検討を行っていた。

ネットワークの情報管理に最適なデータベース基盤としてグラフ DB に着目

「2020 年当時のネットワークシステム開発課の課長もまた、ネットワークの構成情報の管理という用途でグラフ DBを検討していました。情報収集を進める中、具体的なグラフ DB 製品として注目したのが Neo4j(ネオフォージェイ)でした」(海鋒氏)。

圧倒的な実績や豊富な機能を評価し Neo4j の導入を決定

Neo4j は、2000 年設立の Neo4j Inc によって開発された、データプラットフォームとしての世界初のグラフ DB で、2020 年時点でグラフ DB における世界シェア No1 となっており、Fortune 100 企業の中 75%が本製品を導入するなど圧倒的な実績を持つ。性能面では、データベースの規模に関わりなく、1 秒間に数百万単位のコネクションの検索をリアルタイムに実現できる高い処理性能や、ACID 属性を保証によるデータベースとしての保全性の確保、グラフパターンの表記を簡単かつ効率的にするクエリー言語である Cypher の採用、さらに稼働状態のまま、指定時間にデータベースのバックアップを取得できるホットバックアップや高速キャッシュ処理などの機能が搭載されている (この 2 機能はエンタープライズ版、Neo4j Enterprise Edition で対応)。 これらを評価したネットワークシステム開発課では、まず 2020 年 12 月に Neo4j Community Edition を導入する。「その後、当時のネットワークシステム開発課課長が、Neo4j のユーザー会等で情報取集をする中、クリエーションライン株式会社 代表取締役社長の安田氏と知り合い、Neo4j を取り扱う会社としての存在を知りました。ユーザー会での同社の発表内容や技術面での優位性も評価できたため、リモートでの打ち合わせを経て、2021 年 11 月にはクリエーションラインから Neo4j Enterprise Edition のライセンスを購入し、Omnibus サービスの中の WAN システムでの実運用を開始しました」(海鋒氏)。

システム概要:WAN システムでのネットワーク設定の機器反映や情報検索に活用

Omnibus サービスの利用者であるお客様企業のネットワーク管理者が Web ベースのポータル画面上でネットワークの設定を行い、一連の設定作業を完了後、これらの内容を実際のネットワーク機器に反映するための操作を行うと、フロントエンドのシステムから非同期の形でお客様側の実際の機器にその内容が反映される。Neo4j が搭載されたWAN システムは、これら一連の流れを司るコアシステムの DB 基盤として機能する。「コンフィグレーション情報の作成/登録から、実際の機器への設定内容の流し込みといった処理は、お客様側の担当者が意識することなく、バックエンドで非同期に実施される形になります」(海鋒氏)。 現在、Omnibus サービスにはルータなどのネットワーク機器に関連した数万台のサービスアダプタが存在するが、IIJ のネットワーク運用担当もまた、ネットワークトポロジーの管理等に際し、各種の情報の検索/確認といった用途でNeo4j を活用している。

導入効果:2年間障害ゼロの安定運用に加え、高速検索、迅速な開発、容易な運用管理にも貢献

2021 年の 11 月の導入から約 2 年が経過した Neo4j だが、実運用を通じて各種の導入効果が明らかになっている。 導入効果に関する話の最後に、髙橋氏は「開発の過程ではよくある話ですが、クエリーのスピードが落ちるといった問題が発生した際には、クリエーションラインのサポート窓口経由で適切な対応を頂き、素早く解決を図ることができました。このような迅速なサポート対応も、私達のような開発部署にとっては非常に有効なものでした」とその評価を述べた。

今後の展望:現状のサービスにおける継続利用と共に社内での横展開にも意欲

製品としての Neo4j の機能やクリエーションラインのサポートについても十分満足したネットワークシステム開発課では、この 11 月、既に Neo4j の 2 回目ライセンス更新を済ませ、その視線を未来に向けている。 今後の展望について海鋒氏は「Omnibus サービス自体が非常に好調な状況となっており、また WAN システムとしても安定稼働しているため、Neo4j の利用は今後も継続しようと考えています。また社内で IP アドレスをそれぞれ管理している部署やシステムが複数存在するため、これらを統合的に管理したいという要件もあります。今回の Omnibusサービスの WAN システムにおける Neo4j の利用、そして成功をきっかけに、社内でもグラフ DB 利用への認知が高まることを期待しています」と話す。さらに、まだ詳細な構想の確定に至ってはいないとしながらも、髙橋氏は「私達はネットワークに関わる部署ですが、社内には同じような立場でデータを取り扱っている部署が多数あります。それらの部署に対しても、Neo4j という有効なグラフ DB があるということを広めていくことができればと考えています」 とその意欲を語った。 国内インターネットのパイオニア ”IIJ” が、自らのサービスを支える DB 基盤として選択した Neo4j。ネットワークに関わるビジネスを展開し続ける同社において、Neo4j の位置付けはさらに高まり、その利用範囲も拡大することが予想される。
取材日:2023年11月9日