お客様情報
■ 企業概要
1997年9月、NTTの内部組織として日本の情報通信の中枢機能である通信ネットワークを支えてきた部隊と、数千万におよぶ通信サービス利用者を管理し、NTTの数十万人の社員が活用する情報システムを設計・開発・運用・保守してきた部隊が統合され、誕生した情報通信技術のエキスパート会社。NTTグループの一員としてシステム開発事業を展開する。
■ 本社所在地:
東京都港区港南1-9-1 NTT品川TWINS アネックスビル
■ 創業:
1997年9月1日
■ 資本金:
200億円
■ 従業員数:
6,249名(2019年3月末)
取材当時の情報です
※写真左より、坂梨氏、杉本氏、佐瀬氏、中川氏
- 導入ハイライト
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- RDBの数百倍におよぶ検索速度と高い開発生産性を実現
- Neo4jとRDBを併用したシステムでお客様の障害対策・保守対応を支援
- NTTグループ内外のお客様に対してもNeo4jソリューションを横展開
「心をつなぐ、社会をつなぐ」というコーポレートメッセージを掲げ、日本の通信インフラをICTシステムによって支え続けるエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社(以下、NTTコムウェア)。
ネットワークが高度化し、あらゆるシステムがネットワークに繋がり様々なビジネスを支えている今、ネットワークを知り尽くし、ミッションクリティカルなシステムの開発・運用に長けた同社は、正にこの社会基盤とも言えるネットワークの安定運用に不可欠な存在となっている。
2017年、NTTグループ内の企業からシステム更改の依頼を受けた同社では、膨大なネットワーク機器に関わる高速な情報検索を実現するためのコアシステムの検索基盤としてグラフDB「Neo4j」を採用。従来のRDBをベースとしたシステムから、Neo4jをベースとした“超”高速検索システムへのリプレースを成功させた。
導入の背景:他社開発のシステムにおける性能問題の改善
NTTグループにおいて、主にシステム開発事業を担う同社だが、2017年、クライアントであるNTTグループの企業から、他社開発のシステムに関する更改依頼を受ける。当時の状況について、ネットワーククラウド事業本部 ネットワークソリューション部 リンク-BU スペシャリストの杉本昌司氏は、次のよう話す。
「通信事業者やプロバイダー含めて、企業競争が激化しており、これらの企業は差別化に向けて新サービスを次々と提供する必要があります。このような状況の中、ネットワークは大容量化し、より複雑なものになっていきます。システムの更改を打診してきたお客様は、エンドユーザーに安定したサービスを提供するために、保有するネットワーク機器に関する確実で迅速な管理を実現する必要があったのです」
ネットワークソリューション部
リンク-BU
スペシャリスト 杉本 昌司 氏
しかし、対象システムの実態について確認を進める中、大きな問題が明らかになる。ネットワーククラウド事業本部 ネットワークソリューション部 リンク-BU 統括課長の大野木健太氏は、「最も深刻だったのは性能問題です。情報検索におけるレスポンスが非常に悪く、数十分も結果が返ってこないという状況が発生していたのです」と話す。当初は既存システムに手を入れて使用し続けるという形態も検討した同社だが、サーバーのサイジング等を見直す過程でアプリケーションそのものの問題などが浮上。このため最終的に、一からシステムを作り直すことを決断する。
Neo4j採用の経緯:ネットワーク機器の膨大な “つながり” を高速検索できるグラフDB
「アプリケーションを含めてシステム全体を作り直すのであれば、やれることは全て試してみようということで、アイディアを募りました。その中で杉本から上がってきたのがグラフDBを使用するという案でした」(大野木氏)。
グラフDB(データベース)は、ネットワーク状の関係性を持つデータに関する高速な検索や格納を可能にする仕組みであり、「ノード」「エッジ」「プロパティ」という3つの要素によって関連性を表現する。ネットワークを構成する機器の関連性や状態を確実に管理したいという今回の案件に合致すると思われた。
杉本氏は「性能改善という至上命令がありましたが、RDBではその実現が困難ではないかと考えました。データ間の整合性という意味ではRDBが優れていますが、テーブル間でのJoinが多用される複雑な検索では十分なパフォーマンスが得られないからです。一方、グラフDBの場合には、その特性から見て、今回の案件のようなネットワーク型のデータ構造に対する高速検索が可能であると判断しました」と話す。
当時、グラフDBを使用した経験がなかった同社では、ネット上の情報などを調査し、3製品を対象にスペックや実績などを含めた検討を開始。検討を進める中、大きな優位性をもって浮上してきたのがNeo4jだった。「Neo4jは圧倒的なシェアがあり、3製品の中では 公開情報も多く、調査会社が実施したグラフDBのランキングでも、パフォーマンスを含め最上位に位置していました。さらに開発言語についても、分かり易く生産性も高いと思われるCypher Queryが使用できるため、Neo4jを対象に性能評価を行うことを決定しました」(杉本氏)。
こうして、2017年夏から約4ヶ月にわたり、NTTコムウェアでは性能評価を実施する。
ネットワークソリューション部
リンク-BU
統括課長 大野木 健太 氏
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- 評価結果:リスク排除のためRDBも並行評価。RDBの数百倍 におよぶNeo4jの圧倒的な性能を実証
- システム概要:グラフDBとRDB双方のメリットを最大限に活かしたハイブリッドDBシステム
- 導入効果:実運用でも数十分かかった検索が数秒に。またCypher Queryで開発生産性も向上
- 今後の展望:NTTグループ内外のお客様に対してもNeo4jソリューションを横展開